03, 2008
短編小説 『幸せの物語』 ~1章~

季節は夏。 日付にして7月3日。 ……俺は、死んだ。原因は単純。 子供を助けて車に撥ねられた。 いつものように俺はゲーセンでも行こうかと学校をサボり街を歩いていた。 いつものようにとはいっても、卒業には影響しない程度に、だ。ぶらぶらと暑い中、涼しい場所に行きたいと早足で歩いていた時だった。 「あつぅ。こんなんで学校なんていけるかよ。」温暖化の影響なのか、7月上旬だというのに、気温はおよそ8月のもの。蝉はう...

短編小説 『幸せの物語』 ~1章~

2008//03   0

 16, 2008
短編小説 『幸せの物語』 ~2章~

「燈也…!燈也…!」母の声がした。俺はその声で目を覚ます。天井がある。白く高めの天井。「なんでこんな事に…。燈也…。」父さんもいるのか。仕事サボり?それとも終わってからか? 「何泣いてるんだ、父さん、母さん。」俺は上半身だけを起こして言う。しかし、反応は無くただ泣いているばかりだ。ベッドから降りる。ああ、ここ病院か。周りを見て気が付いた。あれ、そういや俺…。あの子供助けて事故ったんだっけ? いろんな疑問...

短編小説 『幸せの物語』 ~2章~

2008//16   0

 14, 2008
短編小説 『幸せの物語』 ~3章~

それから一日が経った。俺が死んだニュースは学校にも伝えられ、今夜には通夜が営まれる事になった。俺は俺が死んだ事でどんな変化が起きるのか見たくなって、学校に行ってみた。すると、既に何人かの生徒が俺についての話をしている。「聞いた?…子供助けて自分が轢かれちゃったらしいよ。」そう言うのは、隣のクラスの女子、神田。「聞いたよ。…結城のやつも馬鹿だよな…。」悔しそうに話すのは同じクラスの谷村。馬鹿、か。そう...

短編小説 『幸せの物語』 ~3章~

2008//14   0

 21, 2008
短編小説 『幸せの物語』 ~最終章~

思ったより、葬式に来た生徒は多かった。正直、俺の事考える奴なんてそんなにいないと思っていた。なんか感動。「え~。本日は息子の…」父さんが話している。挨拶ってやつだろうか。入口には、俺の名前『結城 燈也』と書かれた札が立てられている。数時間後、大きい棺が運ばれてくる。…これで本当に…俺の存在が、消えた。そこにいるのも嫌になり、俺は街に歩き出した。時間は7時。夏のまだ明るい夜。飯時の賑わいが、俺の心に響く...

短編小説 『幸せの物語』 ~最終章~

2008//21   0