葉留佳ルート・~葉留佳の決意~

 2009//17
葉留佳ルート再び

メルだよ

前回の続き
両親に真実を訊ねることを決心する葉留佳は、理樹と共に行動に出たのだった





葉留佳「行こっか」

校門の前で待ち合わせをし、僕たちは葉留佳さんの家に向かった。

理樹「…今日はお父さんたち、いる日なんだっけ」
葉留佳「うん」


門扉の前の葉留佳さんは緊張しているようだった。

葉留佳「…うん。大丈夫」
葉留佳「いこ、理樹くん」


葉留佳さんの手を握り、僕は門扉に手を掛けた。
食卓に会話はない。
かちゃかちゃと食器と箸が立てる音がしている。
こんな空気の中では、食べるのが苦痛でしょうがなかった。
料理はこんなに美味しそうなのに。
まるで、砂を噛んでるみたいだ。



葉留佳の母「…なぁに、葉留佳」
葉留佳「私はどうやって生まれてきたの?」
葉留佳の母「…『どうやって』?」
葉留佳の母「『どうして』、ではなくて?」
葉留佳の母「…そう。とうとう、知りたくなったのね」


前から予見された事態がようやく訪れた、とでも言いたげに。

葉留佳の母「訊いてくれて、ありがとう、葉留佳」

うっすらと笑う。
そのひとの笑みは、葉留佳さんの痛々しい笑みそっくりだった。

葉留佳の母「式の前夜に、二人のひとに抱かれたのよ」
葉留佳「嫌じゃなかったの?」
葉留佳の母「二人とも、よく知ってるひとだった。昔から、ね」


傍らにいるもうひとりの父親──当時は婿のひとり──そのひとはくるりと後ろを向いた。

葉留佳の母「好きだったの。二人とも。どっちかを選ぶなんて考えなかった」
葉留佳の母「そういう風に育てられたのよ」
葉留佳「しきたりだから?」
葉留佳の母「そうよ。でも…」
葉留佳の母「…終わった後。なにか違うって思ったの」
葉留佳の母「私の好きな二人はそれぞれのやり方で私を好きだと言ってくれた」
葉留佳の母「でもそれは結局誰か──私たち以外の誰かの手のひらの上でしかない」
葉留佳の母「それに気がついてしまった。私たちは…モノだったの。モノでしかなかった」
葉留佳の母「私は泣いた。初めてのときにそんなことに気がついて…辛くて苦しくて悔しくて」
葉留佳「あなたは?あなたはどうだったの?」


葉留佳さんは父親に訊ねる。

葉留佳の父「…僕は二木の人間だ。承知済みだった」
葉留佳の母「でも、あのひとは違ったの。外のことを教えてくれたのはあのひと」


三人は話し合った。
このしがらみから逃れよう、と。
そう決意したのだ。初夜の晩に。

葉留佳「それから?それからどうなったの?」
葉留佳の母「………」


そうだ。問題はそこからだ。一体何があったのか?

葉留佳の母「…それは」
葉留佳の母「言えないの」


え…?
僕は耳を疑った。
葉留佳さんの顔には失望感が浮かんでいる。

葉留佳の母「言えるのは…それだけ…」
葉留佳の母「でもわかったほしいの。私たちは、無理矢理あなたたちを産んだわけじゃない」
葉留佳の母「ちゃんとお互いを好きあった、その結果だったということを…」




もう一人の父、三枝晶からしか真実の続きを聞けないことを知ってしまう葉留佳
しかし三枝晶は強硬で一向に真実を明かそうとしない
そしてその唯一の手段は、あの佳奈多と二人で聞くしかない
これには葉留佳は落胆するしかなかった
何せ、取っ組み合ってきたあの佳奈多なのだから。



葉留佳「…わかってる」
理樹「…うん」
葉留佳「…わかってるけど…でも、でも、でも、…イヤなの」


ぐ、と拳を握った葉留佳さんはぎりぎりと歯ぎしりして感情を押し殺した。

葉留佳「わかってる…わかってる…でも、私…私…」

顔を手で覆いながらぶるぶると震える。
僕は抱き寄せてあやした。

理樹「うん。わかるよ葉留佳さん…でも、知りたいんだよね」
葉留佳「………」
理樹「じゃあやってみるしかない」
理樹「やろうよ。二木さんと話してみよう」

葉留佳「ヤだ」


拒否の言葉。

理樹「ねぇ葉留佳さん。さっきのお母さんたちとの会話なんだけど」
理樹「『どっちの子供か知りたい』って言ってたよね?」

葉留佳「…言ったよ」
理樹「葉留佳さんは調査始める前、こう言った」




『でも、葉留佳さん…もしも…』
『…それならそれでいい。諦め、つくもん…』


理樹「葉留佳さん、どっちかが貶めなければならないって考えてる?」
葉留佳「え…?」
理樹「違うよね。『どっちかが知りたい』っていうのは手段なんだ」
理樹「あのときは自分の境遇を諦めるため」
理樹「でも今はどうなのさ」


そうだ。
葉留佳さんのフリをしていた二木さんはなんと言った?

『だって、結局それはマイナスを押しつけ合っているだけだと思うんだ』

理樹「葉留佳さんだけが貶められるのは間違ってると思う」
理樹「でもだからといって彼女を貶めたいわけじゃないでしょ、葉留佳さん?」

葉留佳「………」


唇を噛んで返事をしない。
そうともいえない、か。
葉留佳さんは迷っているのだ。
自分と同じ目に合わせてやりたい、と願ったことがないと言えば嘘になるだろう。
でもかといって、自分が逆の立場になれば問題が解決するのか?
解決なんてしない。

理樹「真実がわかったとき…本当に何がしたいの?」
理樹「諦めるため。相手を貶めるため」
理樹「…それで、葉留佳さんの問題は解決できるのかな」

葉留佳「…どうしたらいいの」


僕は答えなかった。

葉留佳「どうしたらいいの…教えて…解答を教えて」
葉留佳「こんなの…覚えてない…どうしたらいいのか、わかんない…」

理樹「誰も教えられないんだ」
葉留佳「どうして」
理樹「だって」
理樹「…葉留佳さんのことじゃないか」
理樹「自分のことを本当に決められるのは自分だけだ」
理樹「他人に歪められるのが嫌ならば、それより先に…」
理樹「…自分で自分を決めなくちゃいけない」

葉留佳「………」


よく言うよ、僕は。
そんなこと、偉そうに言えるほどなのか、僕は?
僕はそこまで強かったのか?
でも、今は強い自分を演じなければいけない。
でないと、葉留佳さんは自分が抱えている黒い感情に押し潰されてしまうだろう。

葉留佳「…話…してみる」

長い沈黙の果てに、葉留佳さんは固い表情で頷いた。

理樹「うん。わかった」

二木さんの協力が得られなければ──葉留佳さんに未来は、ない。






つづく

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